基調講演「流山 その魅力的風景をめぐって」

≪第一部≫ 13:30~14:10
岡田智秀(日本大学理工学部海洋建築工学科 専任講師、工学博士)
 
【講演のあらまし】
 市民がこのようなフォーラムを企画するのはすばらしい。梅津カズオの住宅裁判のように、極端な色彩を使うと周辺とのトラブルが生ずる。色彩の基準が必要。景観法は、日本の都市美や自然景観の破壊に対する市民の怒りの結果として制定されたと考えていい。千葉県の市で景観計画を策定しているのは6市。流山は4番目、平成19年に策定した。
 流山市の景観計画策定委員会が発足した平成18年8月段階では、市の担当者は「流山市は何の特徴もない街だ」と言っていたが、市内を回ってみると緑が多く、宅地がその中に絡まるようにあり、とても魅力的なところだと思った。単に流山市景観計画と言わず、「グリーチェーン景観計画」と命名した。グリーンチェーンは環境部局の取り組みであったが、都市計画の景観でもこの言葉を生かした街づくりをしていくようにすべきだ。また、景観アドバイザー制度を採り入れ、民間のマンション計画を指導誘導する仕組みは素晴らしい。
 流山の小中学校23校の校歌での景観に関する言葉を調べてみると、北中部地域では遠景の山並み(富士山、筑波山)、大地の豊かさ、南東部は身近にある緑、江戸川の豊かな流れを採り入れている。このことから類推すると、地域ごとの景観資源を見つけ、地域別景観ガイドラインを策定していくべきだ。
 また、TX沿線の緑をビデオに撮って視線の動きを調べてみると、近中景は図として認識され、遠景は地としてしか認識されない。車窓の緑の眺めは明と暗の2種類の印象を与える。
 今後の流山市の景観の課題は、①アドバイザー会議での公共施設の景観指導 ②区画整理地区での景観への配慮 ③地域別景観ガイドラインの策定 ④市民の景観アクションプランである。今後は、行政、市民、専門家が協力して景観まちづくりワークショップを繰り返し実施し、景観形成のコンセンサスづくりを進めていくべきだ。
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